「ナベさんの気ままなラジコン日記」⑭~水上機を飛ばそう!~(2010/02/05)
真冬に水上機の話はいかがなものかと思ったのですが、飛行機のバリエーションのひとつとして押さえておきます。元来、受信機やサーボ、スピードコントローラー、モーターのような電子機器は水に弱くできています。 着水の際に機体が転覆したり、墜落した場合は陸上機よりダメージが大きくなります。 また、川には流れがありますから、流されればロスト(全損)ということも考えられます。 ましてや海の場合は塩水ですから、ほぼ全損と考えていいと思います。
しかし、それだけのリスクを差し引いた上でも、水上機には独自のすばらしい魅力があります。 水鳥が水面にシュプールを残して、飛沫を上げながら飛び立って行く姿は、誰が見ても美しく感動的なシーンです。 ラジコンの水上機にも、水鳥と共通する部分があるのでしょう。 水上機には昔から熱心なファンが大勢います。
水上機には普通の陸上機に2本のフロートを付けたゲタ履きタイプと胴体がフロートと兼ねた飛行艇タイプがあります。どちらも一長一短があるので、ここで少し整理してみたいと思います。
まずはゲタ履きタイプの長所ですが、普通の陸上木を簡単に水上機に改造しやすいこと。 機体が水面から離れますので、胴体と主翼の間から水が入りにくいことが上げられます。 また、短所としては重心が高くなるので離着陸の際に転覆しやすくなることです。 まさかと思われますが、着水時に釣り船の横波を受けますと、簡単にひっくり返ります。 水は柔らかそうに見えても、飛行機に速度が付いているとコンクリートのように硬く、ちょっとした抵抗も見逃してくれません。 さらに上空に上がると、フロートはただの抵抗体となりますから、まさに「無用の長物」と化します。
一方、飛行艇タイプの水上機の長所はといいますと、第一にそのスケール感といえます。米軍のカタリナ、新明和US-1、そうそう!KK HOBBYで扱っているCanadirCL-415などもすばらしいスケール感を持ち合わせています。 後は、ゲタ履きタイプの逆で、重心が低く安定している。上空での抵抗体が無く効率が良い反面、機内に水が浸入しやすいといったところです。
今はARF全盛の時代ですから、フロートを1から設計する人はいないと思いますが、ARF機の場合でも、どこから流用したのか、明らかにフロートの容積が足りない場合もあります。 以前、フロートの容積が足りない機体のフライトを試みたのですが、タキシングからハンプに入るところで、フロートが巻き上げた水滴がプロペラに当たり、思うように加速出来なかったことがありました。 また、そういう機体はちょっとした波や、ラフな着水でフロートが水没してあわや転覆しそうにもなりました。私にも意地がありますから、フロートの底にプラ板で水上スキーのようなフィンを付けて、機体を軽量化し、プロペラのダイヤを落としてなんとか飛ばしたことがあります。大まかな目安ですが、フロートの半分は喫水線から水面に出ていると離着水が楽です。
フライト環境についてですが、フライトは必ず複数で行い、回収用のボートとライフジャケットを用意する必要があります。 よくボートの用意をしないでフライトをし、機体が転覆あるいは回収不能になってから、慌ててボートを出す人もいますが、その間に愛機がどんどん流されて視界から見えなくなることもあります。 また、機体を回収することに夢中になって自分の命を落とさないようにしなければなりません。 川の中程は思ったより流れが急になっています。そのためにも冷静な判断が出来る仲間がぜひとも必要になります。
最後に無理をして回収作業をするくらいなら、機体を諦めることも必要です。案外、機体は風に流されて、下流の川岸に引っかかる場合もあるからです。
水上機のフロートは草地でもよく滑りますから、ファーストフライトは陸上で行い、重心位置や各舵の舵角を調整してから、
水上から離陸させるのも一つの方法です。
フロートの先端から水が跳ねてプロペラを叩いています。明らかにフロートの容積不足している例です。
モーターシャフトのイモネジが緩み、プロペラがすっぽ抜けましたので、回収艇の出番です。
フロートの底にプラ板でソリを付けてプロペラに当たる飛沫を防ぎ、フロートの見かけの容積を増やしたら、スムーズにハンプからプレーニングに入りました。
きれいに離陸しました。フロートの後端から水滴が落ちているのが分かります。
このあたりが水上機の醍醐味です。
水上機のローパスです。水面に機影が移っています。ゲタ履き高翼機の場合、フロートの重量により、
復元力が強すぎて旋回しにくくなります。エルロン→ラダーミキシングを多目に入れて。旋回中はエルロンを打ちっぱなしという場合もあります。
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