「ナベさんの気ままなラジコン日記」⑬~ダクテッドファン復活!~(2010/01/29)
ダクテッドファンはその名のとおり、筒状のダクトの中で小さな羽根を非常に高速で回して、エアインテークから入ってくる気流を後方に吐き出して推進力を得るパワーユニットです。 なにしろ筒の中を気流が通る訳ですから流動抵抗が大きく、効率良く推進力を得るためには、空気の入り口の形状を工夫して空気の流入抵抗を極力減らすことが大切です。ダクテッドファンが出たての頃は2サイクルグローエンジンをパワーユニットにしていましたから、さまざまな課題がありました。 ダクテッドファンから効率よく空気を吐き出すだめには、ファンの回転数を高回転化することが必要でした。 このため、ブレードのバランスを十分に取り、エンジンも高回転化に耐えられるようにチューニングアップするのですが、レシプロエンジンであるが故に、おのずと限界がありました。 また、同じく効率を上げるためにはファンのブレードとダクトの内壁の間のクリアランスを極力少なくしなくてはなりませんから、エンジンの振動でファンがダクトの内壁に接触して、ブレードが飛び散るという事故もありました。
エンジンの始動においても課題はあります。 プラグヒートはダクトの外側まで配線を伸ばすにしても、どうやってエンジンをクランクしようかという問題です。 スターターに延長シャフトを付けて、エアインテークから挿入してエンジンをかけるという方法もありますが、シャフトが長い故にブレてしまい、ダクトの内側や機体を傷つけてしまうことがあります。また、エンジンにVベルトを付けて、ヘリのように始動する方法もありますが、ダクトに大きなフタを設けなければならないことになります。
それでも「ジェット機の機首にプロペラが付いていては、ジェット機じゃない!」「ジェット機をジェット機らしく飛ばしたい」というマニアの熱意から、マニアの間ではダクテッドファンの研究が続いていました。
その途中、ダクテッドファンの効率があまりにも悪く、業を煮やしたマニアが、普通のエンジンと普通のプロペラを機体の中央に搭載し、プロペラが接触すると思われる翼や胴体の一部をカットしたジェットもどきの機体も考案され、実際にそのような機体も飛んでいました。
その後、大変高価ではありますが模型用のジェットエンジンが開発され、ダクテッドファンもこれに取って変わるのかと思っていた矢先にブラシレスモーターが登場しました。
今にして思いますと、ダクテッドファンはEPのためにあるような物です。モーターの構造からすると円柱状のカンに同心円状に磁石を貼り付けているのですから、振動はほとんどありません。始動用具も要りません。KV値の高いモーターを製造するのも比較的楽です。 また、ファンの後方にエンジンヘッドやチューンドサイレンサーのような有害抵抗を発生する構造物はありません。
従いまして、ダクテッドファンはブラシレスモーターの出現により、再び開花したと言っても過言ではないでしょう。 機体に対する考え方も以前はFRPにウレタン塗装という高級機だったものが、曲面を自由に表現できる発泡スチロール製のよりカジュアルな機体に志向が変わってきました。
実際のダクテッドファン機の飛行ですが、〔ファンの推進力により機体が加速→速度が増すごとに空気の流量が増える→ファンの効率が上がる→更に加速する〕というフィードバックを繰り返していますので、ある程度機速が付いて、空気の流入量が増加したところで急にパワフルになります。 また、構造上の理由から砂やゴミの吸い込みを嫌いますから、舗装路からの離着陸が有利になります。
製作中のF22ラプター。ダクテッドファンを2基搭載しています。
完成したF22ラプター。エンコン・エルロン・エレベーターの3チャンネル4サーボ仕様です。
舗装路のように平坦な滑走路があれば、ダクテッドファン機も楽々と離陸して上昇していきます。
エンコンを中スローにして旋回しても、巻き込みなどの癖はありません。