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「ナベさんの気ままなラジコン日記」⑨~エアロトーイングを楽しもう!~

 北海道の滝川市で乗った本物のグライダーのお話です。ロバンDR400という飛行機の尾部からワイヤーを引いてグライダーに固定します。 グライダーはASK21です。曳航機とグライダーは無線で連絡を取りながら、自分が離陸するタイミングを待ちます。 グライダーは動いていなくても、わずかな向かい風さえあれば、操縦桿を操作して主翼を水平にバランスを取ることができます。
 やがて出発の時が来ます。 グン!というショックで背中を押されたかと思うと、ゴトゴトとタイヤの音がして左右の草が後方に走り抜けます。 タイヤの音が消えたかと思うとグライダーは中に浮きます。 曳航機もやがて滑走路を離れて上昇をはじめます。 だんだんと周囲の風景が後方に見えてきて、やがて地図のような景色に変わります。
 高度が300m位に達したら曳航機と無線で連絡を取りながら、コクピットのレバーを引いて離脱します。 曳航機は次のグライダーをトーイングするためにダイブして去っていきました。
 グライダーは静寂の世界に入り込みます。先ほどまで聞こえていたエンジン音も、振動もありません。 あるのは風切り音だけです。
 さて、サーマルを探してどこへ行こうか。高度計やバリオメーターが付いているのですが、他機警戒が重要なので、基本は身体で感じることです。 運良くサーマルにヒットするとドンとお尻を叩かれます。 お尻がサーマルセンサーなんですね。 センタリングを繰り返して高度を取ります。
 しばらく遊んだらベースに戻りましょう。 ダウンウインドレグでピストに無線を入れて、ファイナルアプローチです。 ランウェイに機軸を合わせて高度処理します。 スポイラーを出すと、ゴーという風切り音と共にみるみると高度が落ちていきます。 そして、ソフトにタッチダウン。 グライダーが止まると、仲間が駆け寄ってきます。

 いかがですか? このようなエアロトーイングが、ラジコンの世界でも簡単に出来るんです。 まずはワイヤーですが、機体の大きさや重量にもよりますが、小型の電動機でしたら、建築用の水糸か釣り糸を20m程度でかまいません。 中間にゴムを入れてショックを緩和します。 また、ラインの両端にスイベル(拠り戻し)を付けて、ねじれを取ります。
 グライダー側のレリーズは市販の物もありのすが、小型機であれば小さなヒートンとピアノ線で簡単に作れます。 一方、曳航機側も万一に備えて、重心位置のやや後方にレリーズを取り付けます。 レリーズはアルミの角パイプに金ノコでスリットを入れて、その中でピアノ線を上下させます。 ピアノ線はノイズレスチューブで保護し、隙間はバルサ材で埋めます。

 では、実際に飛ばしてみましょう。フライトには、最低3人、出来れば4人いると楽にトーイングが楽しめます。 滑走路を長めに使うため、風下のランウェイエンドに機体を持っていきます。 パイロットは2人とも曳航機とグライダーが見えるように、機体の後方に立って操縦します。 もし、グライダーの主翼が地面に接触してしまうようでしたら、すぐにラインを外せるように送信機のギアスイッチに指をかけておきましょう。
 曳航機は出来るだけ、ゆるやかに加速させます。 最初にグライダーが滑走路から離れますが、曳航機はすぐに離陸させず、滑走路の端まで使って十分に速度をつけてから穏やかに上昇させます。
 グライダーが高度を取るまで、出来ればそのまま風上に向かうのが理想です。 ターンしても、せいぜい90度までとします。 180度ターンして風下に入ると、グライダーが曳航機を追い越してしまうこともあるので、ダウンウインドに入れてはいけません。
 十分な高度を取ったら、ラインを切り離します。 曳航機はインメルマンターンに近い急降下で、グライダーとの接触を避けて滑走路に向かいます。 この時、フライトエリアの環境にもよりますが、大概の場合は、ラインを付けたままで着陸できます。 曳航機が着陸したなら、急いでラインを外して他機の邪魔にならない所に片付けます。
 さて、グライダーはというと自由を満喫していることでしょう。心の向くまま気の向くまま、サーマルソアリングを楽しんでいます。 ただし、ピュア(動力の無い)グライダーですから、ランディングは一発勝負です。サーマルを追いかけて夢中になりすぎてアウトランディングしないように!^^;



これが曳航機側のレリーズフックです。スパーと中央リブにエポキシで接着してあります。サーボは主翼の裏側に付いています。


エアロトーイングはみんなで楽しむ遊びです。共通の目的に向かってチームワークが生まれます。


曳航機が走り出すと、グライダーが先に浮き上がります。グライダーがUPを引くと大きな抵抗になりますので、曳航機と同じ高度で飛ぶように心がけます。


大空の中でスカイウォークⅡがEPバードドックに曳航されていきます。


実機のエアロトーイングの準備中です。この機体は飛行中にラインを巻き取る装置が付いています。


このように、実機の場合もグライダーが先に離陸します。




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