「ナベさんの気ままなラジコン日記」⑦~着陸のプライオリティー~
飛行機は合理主義の国アメリカで生まれ、発達していった移動手段ですから、その取扱いにも非常に合理的な方法が数多く見られます。実機の場合は綿密な航空管制が行われ、多くの飛行機が規則正しく、順序どおりに空港を離着陸しています。
では、ラジコン飛行機の場合はどうでしょう。ラジコンクラブとして、しっかりとした組織を持っているところには安全委員などがおりますが、それでも飛行場の安全を完全に守れるわけではありません。離着陸の指示くらいは出していますが、全ての飛行機の状況を把握して適切な指示を出すのには限界があります。
よって、安全委員のみでなく、個人個人のラジコンフライヤーがある程度のモラルや航空機の基礎的なルールを理解していれば、事故は未然に防げるものです。特に着陸時の事故は多く、これらを回避するためには、プライオリティー(優先順位)という非常に合理的な取り決めがあります。
例えば、ラジコン飛行場の場合で、着陸しようとしている機体と離陸しようとしている機体が同時になった場合、どうしたらいいでしょうか。着陸態勢に入った機体は燃料又は電力の残量が少なく、飛び続けるのには限界があります。また、ピュア(動力のない)グライダーの場合は、ゴーアラウンド(着陸のやり直し)が出来ません。よって、こういう場合は当然のことながら着陸が優先となります。機体が着陸して回収されるまでは、離陸は待ちましょう。
次に、複数の着陸態勢の飛行機が、同時にファイナルアプローチに入ったとします。この場合は基本的には「弱者優先」の考え方を取ります。最優先する機体は、リンケージやラジオの不具合などでノーコンとなった飛行機で、次にエンジンストップした飛行機となります。次に無動力のグライダー。それから電動機、エンジン機、ヘリコプターとなります。これは、あくまで「基本的には」です。
まず、ノーコンになった飛行機を最優先するのは、みなさん異論はないでしょう。危なくて、誰も近づきたくないはずですから。次にエンストした飛行機とピュアグライダーの比較です。どちらも動力はありませんが、滑空比が違いますから一般的にはグライダーの方が滞空時間が長くなります。よって、エンストした飛行機を先に着陸させてあげて、その間グライダーは我慢して飛んでいてもらいます。スピードも飛行機の方が速いですから、空中衝突を避ける意味でも先に飛行機を降ろします。
次に、ピュアグライダーと動力機ですが、これはグライダーを先に降ろさせるのに異論はないと思います。グライダーには動力がありませんから着陸するまで、飛行機は残りの動力で飛んでいてもらいましょう。
さて、電動機とエンジン機の比較ですが、「弱者優先」という考え方からですと少し微妙になってきます。以前は電動機の方が非力でしたが、最近のブラシレスモーターはエンジン並みのパワーを持つようになってきましたので、燃料の残量という観点からしか優劣の付けようがなくなってきました。とはいえ、まだまだ非力な電動機は多いので、今までの経過措置として電動機を優先してあげましよう。
最後にヘリコプターですが、私は別にヘリコプターに偏見がある訳ではないのですが、ヘリコプター場合、飛行機と違ってダウンウインドレグ→ベースウインドレグ→ファイナルアプローチというランディングシーケンスを守らなくても着陸できますので、しばらく上空でホバリングしながら待機してもらい、滑走路が空いたら好きな場所に降ろせばいいことになります。
このような基本的な考え方をラジコンフライヤーのみんなが共通理解していれば、安全委員の負担が軽くなり、事故も少なくなってくると思います。
最後にフライヤー同士の立ち位置ですが、緊急事態に陥った時にお互いの声が届くよう、ある程度近い位置で操縦しましょう。
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