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「ナベさんの気ままなラジコン日記」(271)~お便りのご紹介~(2015/01/09)

ナベさんのプロフィール

(過去の日記はこちら)



今週は久し振りにシリアスなお手紙を頂いたのでご紹介します。


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はじめまして、私は関東近辺でグライダーを飛ばしています。
二十数年前に小さい電動飛行機でラジコン飛行機の世界に入門して、その後エンジンを少しやり今はグライダー専門となりました。
グライダーも平地ではほとんど飛ばさず山でのスロープソアリングを主体にして楽しんでいます。

最近気になる事があります。
私は山で飛ばす機体はピュアのみですが、リポ搭載のモーターグライダーを飛ばされる方も多いと言う事です。
リチウムポリマー電池は墜落などの衝撃で変形して破裂発火の危険性が有ると言われてますよね。
平地でですが実際に私も発火の瞬間を見た事があります。
目の前に墜落したモグラが数秒起たずに白煙を上げ始め、炎が出て機体が全焼してしまったと言う事故を。
それ以来リポ搭載の空モノRCはやるべきではないと思い、飛ばすのはピュアグライダーのみとなりました(まあ受信機用ニッケル水素もショートすれば発火の危険性は無くは無いのですが)

山で落としたらすぐには回収できないですよね。
その間に発火して山火事にでもなったらと考えるととても怖いです。
でも私がリポ機飛ばさなくても他の方は平気で飛ばしていますが、危険性とかあまり考えて無いのでしょうか。
それとも私の方が心配しすぎなのでしょうか。
あるいは変形しないよう衝撃吸収の措置を取っているのでしょうか?(RCカーでは変形防止のハードケースがあると聞きます)

私は山へ飛ばしに行った時に他の方がリポ機飛ばしている場合は自分は飛ばさずすぐに帰る事にしています。
理由はもしもの場合は自分に責任が取れない事。
リポ機飛ばしているのが私では無く飛ばしている方と直接の知り合いでは無くても、同じ時に同じエリアでRCグライダーを飛ばしているのであれば共同責任だと考えています。
それと自分がいる間にリポ機墜落があった場合はそれが見ず知らずの他人の機体であっても前記の理由から自分も捜索に行かなければならない。 リポ機は発火の危険性から必ず回収しなければならないし、見つから無いから放棄なんてとんでも無い事。
仲間では無くてもその場にいる全員が捜索するのが当然だと考えています。
それが嫌だからリポ機飛ばしている人がいたら私は飛ばさず帰る事にしています。

ナベさんの記事はグライダー関係が多くスロープソアリングの事もよく取り上げているので楽しみに読んでいるのですが、この件に関してはどのようにお考えでしょうか?

                       スロープフライヤー

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スロープフライヤーさん、お便りありがとうございます!

久し振りに社会派といいますか、シリアスなお便りをいただきました。
そして今、私の考えを問われています。


私は・・・。
端的に申し上げれば・・・。
といいますか誤解を恐れずに自分の考えを述べるなら・・・。

「自然環境に与える影響という視点で考えたら、リポを使用したモーターグライダーもピュアグライダーも大差なく共に悪影響を与えている」と思うのです。

更に極論を申し上げるなら・・・。
「そもそも人間が地球上に存在すること自体が悪影響に尽きる」と考えています。

まず、リポを使用したモーターグライダーもピュアグライダーも大差無いというお話からさせて頂きます。

リポの危険性はスロープグライダーさんのおっしゃるとおり、発火による危険性というリスクがあります。
しかし、一方でグライダーの回収率という点では、動力を持っているモーターグライダーの方が遥かに回収率が高いです。
ピュアグライダーはモーターグライダーと比べると、残念ながらロストし易いです。
その証拠に、私が以前通っていたスロープエリアでも、多くのピュアグライダーが山の中に落ちたり、海に落ちて回収不能になっています。
たまにハイキングに来る方が
「こんなの落ちてたよ!」
と言って、行方不明になっていたグライダーを持ってきてくださいることもあります。
まったく恥ずかしいといいますか、頭が下がります。
そういうグライダーは必ずと言っていい程ピュアグライダーです。
更に、大部分のピュアグライダーはFRPで出来ていますから地中に分解しません。

発火の可能性はあるけどめったにロストしないモーターグライダーと、ロストすると土に帰らないピュアグライダーを比較したら・・・。

変な言い方ですが
「自然環境にとってはどちらも大差はなく、どちらも害が無いとは言えない」
という結論になると私は考えます。



次に、「人間が地球上に存在すること自体が悪影響」というお話ですが、これはもう私が説明するまでもありません。
二酸化炭素の排出量の増加による地球温暖化、自然形態の破壊に始まり、核兵器保有国同士の利害関係の悪化など、容易に想像がつきます。

私は
リポは発火の危険性があるから使うのはやめようとか、人間そのものが害だから地球上から人間がいなくなれば良い、などと極論を主張する気は毛頭ありません。

私が言いたいのは
「世の中には危険やリスクは存在するものである。その事実を十分に認識した上で、より安全な取扱方法・管理方法をメーカー、販売店、ユーザーがそれぞれの立場で考案していかなければならない」
と思うのです。


もし、私がスロープでグライダーを飛ばしていたときに、リポに限らず操縦技術も含めて危なっかしい人が来たら「こんにちは!」と声を掛けます。
そして、どんなグライダーであっても「素敵なグライダーですね!」とか「かっこいいなぁ!」とか褒めちぎります。
人間、褒められて悪い気がする人はいませんから。
褒めて褒めて、仲良くなったところで
「良かったら助手をしましょうか?」とか
「あの辺は気流が荒れているみたいですよ!」とか
「こちらにサーマルがあるみたいですよ!」
とアドバイスしてリスクを回避します。

相手の心を傷つけないで、危険を回避する。
これが一番だと思います。




例えば
「リポは発火する恐れがあるから飛ばしちゃダメ!」
なんて言ったとします。
するとどうなるでしょう?

断られた人は、その場は引き下がりますが、気分を害して市役所や警察署に寄って
「あそこで危険なラジコンを飛ばしていた」
と言われたら、そのエリア自体が飛行禁止になってしまいます。

どちらが悪いかという審判をするのではなく、互いに共存しながらどうしたら安全を確保していけるのかを考える方がより進歩的だと私は考えます。


ではまた来週お会いしましょう!




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